自社のホームページを立ち上げたいと考えた時、複数社から相見積もりを取ることがあるかと思います。
その際、WEB知識に関する理解が乏しかった場合、制作会社に伝える「要件」が抽象的な内容になってしまい、概算の見積もりとして受け取ったにも関わらず、後々制作段階になって『それは追加要件になります』『この仕様ではそこまでできません』など発注側が意図しない状況に陥ってしまう場合があります。
制作会社によってそれぞれ異なるとは思いますが、【制作会社側が提供しているサービスプラン】ではなく、【自社要望による個別オーダーのプラン】となる場合には、求める要望がしっかりと見積もり内に含まれているのか見定める必要があります。
少々厄介な点として、制作会社によって定義している項目の範囲がバラバラだったりするので、見積もりに記載されている項目が「何を指すのか!」「どこまでの作業範囲なのか!」ちゃんと確認しましょう。
ホームページ制作は「物理的に実態の無い納品物」となります。制作会社側の表現によって何が含まれるかは変わってきますが、基本的には【制作進行の流れに準じて必要となる工程】に合わせて費用が発生することが多いです。
要件定義 | 発注側が求めている内容を聞きとり、求めることをしっかりと実現する為に両社が共通理解として認識できるよう要件をまとめることを指します。噛み砕いて説明すると【制作時におけるルールブック】のような取り扱いとなります。 ご注意する点としては、要件定義はあくまでも制作作業全体におけるルールであって、システム部分の「仕様」を含んでいない場合が多いです。システム部分の制作ルールについては別途【仕様書】という形で細かく定義することが多いです。 制作会社によって費用はバラバラですが、固定金額で設定している制作会社が多く、要件次第では金額が増える場合もあります。 |
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プロジェクト管理 | ご契約してから納品するまで、円滑にトラブルを起こさず進める為に人員を用意し、スケジュール管理を行う人的工数として費用が発生します。 主に「制作ディレクター」が担当者として制作進行に付きそう形となるので、この制作ディレクターへの対応工数として設定されている場合が多いです。 制作スケジュールが長くなるほど制作ディレクターを拘束する日数も増えるので【制作期間】によって金額の増減が生じる項目となります。 |
構成案作成 | 具体的に制作が進行した場合に、まずは最初に行われるのが、発注側が希望する内容を「どのような形(構成)としてまとめあげるか」を可視化する為に作成される資料となります。 住宅建設で言うところの「設計図/青図」と捉えていただければわかりやすいと思います。WEBに慣れ親しみの無い方だと、この構成案の段階では最終的にどうなるのか?がイメージしにくく、アバウトに理解した状態で了承してしまい、ある程度進行した段階で「思っていたのと違う」「こうじゃなかった」とトラブルになってしまうケースもあるので、とても重要な項目となります。 制作する規模に応じて対応工数が異なり、多くの場合は【ページ数】で費用が変わってきます。 |
デザイン作成 | 項目名そのままとなりますが、作成された構成案をもとにデザインを作成する費用となります。 制作会社によって範囲が異なってきますが、「TOPページデザイン」「下層ページデザイン」と分けて算出する場合もあれば、「TOPページデザイン✕3案」などバリエーションを含む場合など様々です。 多くの場合は【1案につき○○万円】という括りになっている場合が多いのですが、デザインは見る人の主観によって良し悪しが変わってきますので、「デザインが気に食わない」と何度もやり直しをかけるケースもあります。 そうした場合には追加費用として上乗せがかかってしまうこともあるので、注意が必要です。かならず「何回までリテイクが可能なのか?」を確認するようにしましょう。 |
コーディング費用 | 制作したデザインをもとに「HTML化」を対応するための項目となります。こちらも構成案と同じように制作する規模に応じて費用が変わってきますのでご注意ください。 制作会社によっては「基本コーディング」と「量産コーディング」を分けて算出する場合もあります。その場合、コーディング時点で大きな修正が発生すると調整費用として追加費用が発生するケースもありますので、難しいとは思うのですが、都度テスト状況などを確認することが望ましいです。 ただHTML化すれば良いというものではありませんので、専門的な知見が多少必要となる工程ですが、この作業で制作したデータが一般公開されるデータとなるので、細かく確認していきましょう。 |
システム構築 | システム構築といっても、その内容は千差万別あり、一概に一言で表現するのはとてもむずかしい項目です。 なので、発注側からの希望として「システム構築」を希望する場合、見積もりとして単純に1項目で見積もりをまとめてきた場合はとても危険な状況です。 この項目を含める見積もりの場合は必ず細かく内訳を確認したほうが良く、理想を言えば「システム構築用の見積もり」を別に出してもらう位が良いです。 また、見積もりを算出している人物がどれだけWEB知識をもっているかで、金額が変わってしまうほど不安定な要素でもあるので、概算や想定ではじき出された金額を鵜呑みにしないようご注意ください。 テスト可動のタイミングでミスに気づいたとしても取り返しがつきません。面倒ではありますが見積もりの中で最重要と言って良い程に気をつけるべき項目です。 |
ドメイン取得 | 主に取得代行としての対応費用として含まれている場合があります。そんなに難しい作業ということでも無いのですが、完全に制作会社に任せっきりにしてしまうと、更新対応の不備・支払い対応の不備などが発生してしまい、自社のホームページが閲覧できなくなる事態にもなります。 理想は自社内に管理者を用意し、社内で管理運用できることが望ましいです。 |
サーバー設置対応 | 「ドメイン取得」と同じように、制作したデータを設置する為の対応費用となります。 制作会社によって「制作会社内のサーバー」「外部のレンタルサーバー」「専用サーバー」など対応方法も様々なので、どのようにデータ管理していくのかを確認できたほうが良いです。 データの保管場所を借りる形となるので、月額費用や年間使用料などという形でリース形態になる場合が多いのでご注意ください。 |
運用保守 | 「ドメイン更新」「サーバー管理」「HTML調整」など、制作が完了した後に発生しうる作業に対する費用として含まれる場合があります。 制作時点では大きく関わる費用ではありませんが【後々の為に】想定しておいたほうが良い内容となります。 この項目に何が含まれるのかを明確に定めておかないと、後々何かトラブルが生じた際に制作会社側から「保守外となるので」など対応のタイムラグに繋がってしまうこともあります。 制作会社としてのサービス姿勢が垣間見える項目でもあるので、気になることは臆せず確認していきましょう。 |
※制作会社によって項目の定義は異なります、必ずしも掲載している内容が全てではないので、参考レベルであることをご承知おきください。
見積もりの金額や内容だけで【この制作会社に任せて本当に大丈夫か?】を判断するのは非常に難しいです。
見積もりはあくまでも【自分達が求める内容をしっかりと作ってくれるのか】【プロとしてお客が不安にならない対応がとれるのか】を推し量る指標レベルとして確認されるのが良いと思います。
もちろん、見積もりの金額として他社よりも圧倒的に高すぎる・低すぎるという場合には、何かしらのカラクリが潜んでいることもありえます。数字だけで判断することなく、ちゃんと見積もり金額に対する制作会社側の見解を確認することがとても重要となります。